京都の世界遺産めぐり・東山文化の集大成『銀閣寺(慈照寺)』の見どころ
実は「銀閣寺」とは江戸時代から呼ばれ始めた
京都にはたくさんの寺院があり、それぞれに歴史がありその美しい様を見せつけてくれます。同じ禅宗相国派でありながら、金閣寺と同様に足利将軍が建立したとは思えない「慈照寺」は、江戸時代に入ってから金閣寺と対比により『銀閣寺』と呼ばれるようになりました。外壁が銀なわけでもなく、非常に質素でそれがかえって雅(みやび)を感じさせるのではないでしょうか。
義政が安住の地に選んだのが「慈照寺」
足利義政と聞くと『応仁の乱』『日野富子』が頭に浮かぶ人もいると思います。足利義政は、武よりも文を好み美しいものを愛でたりするのが好きな将軍でした。それに業を煮やしたのが妻の『日野富子』です。夫婦仲は悪くは無かったようですが、後継者争いが発端で『応仁の乱』が勃発しました。
嫡男の義尚が将軍になり、富子が次第に政治にのめり込むようになると義政は『自分が落ち着ける場所』『誰にも介入されない』場所を探し始めます。気が弱く、自分の意見も富子や親族に口をだされ、京の都にはもう居所を見いだせない義政が選んだのが浄土寺山の山麓でした。常御所が造られたあとはすぐにこちらに住まいを移し、諸堂を順に整え始めますが銀閣の完成した翌年に没しています。
寺らしくない?
そもそも義政が隠居する為に建てたのが『東山山荘(東山殿)』でこれが義政の死後に寺院となりました。義政の願いにより夢窓疎石にて開山となりましたが、兵火により銀閣と持仏堂(東求堂)以外は焼失しています。猿楽や茶の湯などに興じ『いっさい政治とは無縁』な生活を送ったといわれています。
金閣寺も銀閣寺も足利将軍が建立したものから、江戸時代には対比され銀閣寺と呼ばれるようになっていますが銀が貼られているわけでもありません。ただ金閣寺の金が剥落(はくらく)した姿は、銀閣寺と非常に似ており『栄華を極めた足利義満』と『女傑を妻にもった足利義政』二人の将軍の生き方を表しているのかもしれません。
静かなる「銀閣(観音堂)」
これが本殿にあたり、中には釈迦牟尼仏が祀られています。正面は四間、側面が三間 の宝形造になっていて下層は「心空殿」住宅様式、上層は禅宗式の「潮音閣」、閣上には将軍を表す鳳凰が飾られています。
金閣寺は水面にその姿を輝くように映しますが、銀閣は静かな佇まいです。隠匿した義政の穏やかにすごしたい気持ちが表れているのではないでしょうか。
草庵茶室の源流「東求堂」
銀閣が建てられる前に、この「東求堂」は銀閣の隣に建っていたとされています。持仏堂であり、阿弥陀如来像がこちらには祀られています。内部は特別公開のみ拝観可能になります。その時期は、東山文化の真髄を感じてください。
謎の多い庭園「向月台」と「銀沙羅」
銀閣寺の総門から参道を右に曲がると、銀閣寺垣が高々と竹垣に椿の生垣が素晴らしい景色に出会えます。まだ見ぬ銀閣に思いを馳せながらゆっくりと足を運びましょう。
中門の先には、円錐の砂型『向月台(こうげつだい)』その左には筋文様が入った『銀沙灘(ぎんしゃだん)』があり、不思議な庭園の世界に誘われます。朝一番にこの庭に足を踏み入れると、丁寧に手入れをしている様子を見ることができます。
向月台は座り月を愛でるものともされますが、人が座れるまのでまなく銀沙灘は中国の杭州は西湖(せいこ)を表現しているとも。平安時代から、貴族達は「美しいものを愛でる」ことに関心が高く、特に「月の美しさ」は歌に詠われるように関心が高かったようです。
この庭も、何ヶ月も楽しむために趣向をこらしたものであるとは思いますが、義政の本意は明らかにはされてはいません。この庭に立ち、将軍としてよりも文化人として余生を楽しんだ義政になりきり、謎を解明してみるのも楽しみの一つではないでしょうか。
計算されたアンバランスさが素晴らしい「銀閣寺垣」
銀閣寺は決してきらびやかなものではありませんが、参道に続く竹垣に目を止める人も多いのではないでしょうか。石垣の上には竹が隙間なくずらりと並んでいるだけでなく、押し縁を使い良く見るとシュロ縄で結んだ建仁寺垣(ケンニンジガキ)が合わさっています。
高い壁なので、比較がしにくいかも知れませんが左右の高さが異なっているのもお見のがしなく!
御朱印
銀閣寺の御朱印は、入口すぐの授与所でいただけます。
四季も美しい
穏やかな銀閣寺は、新緑から紅葉までのシーズン落ち着いた雰囲気ながら東山文化を肌で感じることができます。
特に庭園は苔の名所でもあり、初夏には青々と茂った苔が大地を這うかのように青々と光ります。西芳寺を模したともされるだけあり、近くでみるとビロード絨毯かと思うほど。
紅葉時期も美しい銀閣寺ですが、華やかなライトアップはありません。
京都の紅葉は11月上旬から12月下旬ですが、拝観時間は通常のままなので早めにご覧ください。
銀閣寺へのアクセス
【京都駅から】
市バス(17、203系統)に乗車、「銀閣寺道」バス停下車、徒歩10分。
市バス(17、203系統)に乗車、「銀閣寺道」バス停下車、徒歩10分。
銀閣寺周辺のグルメスポット
おめん 銀閣寺本店
伊勢崎うどんが食べられるお店で、銀閣寺周辺では人気のうどん店。リピーターも多く、制服姿の人も多く並んでいます。野菜がたっぷり食べられるので女性に人気のお店です。
薬味が非常にカラフルで豪華なことに驚く人も多いとか。見た目も美しさにこだわるのは京都らしさですね。季節料理セットが人気なので、初めてなら、まずセットからどうぞ。
草喰 なかひがし
とことん素材にこだわり、おいしさだけでなく見た目の美も意識した食事処。ミシュランガイドでも話題で、海外からも訪れる人が多い名店。
予約が非常に取りにくいことでも有名です。おくどさん(竈[かまど])で炊き上げた真っ白なごはんは、口に入れると甘味が広がっていきます。山菜料理なので、戸惑いもありますが素材を活かした料理は食べ終わるころには虜になるはず!
よーじやカフェ 銀閣寺店
舞妓さんご用達の「よーじや」銀閣寺店は、庭を楽しみながらのんびりできるカフェです。雑貨が購入できるスペースもあります。座敷スタイルで、和のもてなしが楽しめますよ。
人気の抹茶ラテは、あの有名な「よーじや」の顔がカップいっぱいに広がっています。銀閣寺を拝観した後でも、これから銀閣寺をゆっくり楽しむ人もちょっと立ち寄りませんか。カフェで一息いれたら奥で買い物もどうぞ。
蹴上、元田中、東山 / 甘味処、かき氷
- 住所
- 京都市左京区鹿ケ谷法然院町15
- 電話番号
- 075-754-0017
- 営業時間
- 10:00~18:00 (L.O.17:30) (季節により変更あり)
- 定休日
- 無休
- 平均予算
- ~¥999
- ¥1,000~¥1,999
『銀閣寺(慈照寺)』に別れをつげて
坂道をゆっくりと歩くと展望台があり、そこからは銀閣寺の全貌を見る事ができます。晴天も清々しいのですが、しっとりと雨に濡れた檜皮葺が朝日や夕日を浴びる姿はなんとも言えない趣があります。国宝に指定された銀閣寺に本当の素晴らしさは、展望台に上った時にもしかしたら理解できるのかもしれません。