日本人なら知っておきたい!京都の舞妓・芸妓さん「御用達」大特集
京都の花街は「御用達」の宝庫!
「御用達」とは、幕府や皇族など特別な地位にある権力者が重宝していることを示す言葉でした。現代では、「一般の人にとって尊敬や憧れの対象となるような人たちが愛用する品」というような意味で使われています。
御用達その一:「着物」
舞妓さんの着物は「半衿」に注目!
御用達その二:「帯」
美しい着物で舞妓さんに近づきたい!そんなときは「おか善」へ
舞妓さん芸妓さん御用達の呉服店はいくつかありますが、特に知られているのが「おか善」。寛政年間に創業、200年以上の歴史をほこり、京都五花街から注文が舞い込む名店です。「お金があまって仕方がない!」というリッチな女性は、ぜひこちらで着物をあつらえてみては!?
御用達その三:「帯留(ぽっちり)」
女性用の着物の帯締めにつける帯留めを、京都の花街では「ぽっちり」と呼びます。名前はとてもかわいいのですが、本物の宝石を職人さんが一つひとつ加工する高級品で同じものはつくれません。そのため置屋さんでは、ぽっちりが代々家宝として受け継がれています。
作家さんにぽっちりを特注したい!そんな方は「うのはら」へ
べっこう細工や帯留めを扱う「うのはら」は、大正7年創業と京都では新しい部類のお店です。ではなぜこちらのお店をオススメするかというと、それは「若手作家さんとのコラボ」に積極的だから。専属の職人だけでなく、京都市立芸術大学・京都伝統工芸大学を卒業した新進作家とも提携し、お客さんからの特注商品を製作しているのです。伝統に新風を吹き込む素晴らしい試みですね!
御用達その四:「履物」
舞妓さん芸妓さんの履物には大きな違いがあります。舞妓さんが仕事のときに履くのが「おこぼ」。底の厚さが10cmほどもある桐製の履物です。
一方、芸妓さんは下駄を履きます。
乗り物に乗る場合や床を傷つけてはいけない場所に出向くときは、おこぼや下駄ではなく草履を履いて出かけます。
花街の履物なら「ちょぼや」
祇園の花街をつらぬく花見小路で昭和29年から店をかまえる「ゝや(ちょぼや)」。おこぼ・下駄・草履など、舞妓さん芸妓さん用の履物を熟練の技で手づくりするお店です。
おこぼを一般の人が履くことはまずないでしょう。「プロ」である舞妓さんも、おこぼに慣れるまではよくつまづいたり転んだりするそうなので、一般女性が履いたらほとんど歩けないかもしれませんね。
京都祇園「ちょぼや」さんで、プティ・タ・プティさんのテキスタイルで草履注文しました! 届くの楽しみ! pic.twitter.com/CDoTAx755G
— あず (@as_relieur) 2016年9月17日
でも、芸妓さんが履く上質な下駄や、舞妓さんがオフの日に履くかわいい草履なら、着物でおでかけするときに重宝します。「ちょぼや」では、自分好みの布を持ち込んで草履に仕立ててもらうこともできるそうです。男性用のラインアップも豊富なので、夫婦や恋人同士で利用するのもいいですね。
御用達その五:「扇子」
京都五花街のひとつ祇園甲部では、毎年12月の「事始め」に、舞の家元である井上八千代師匠から舞に使う扇子を授与されます。新しい扇子を手にした舞妓さん芸妓さんたちは、「次の一年もがんばろう!」と気合が入るのだそうですよ。
「投扇興(とうせんきょう)」は有名なお座敷遊びのひとつ。舞妓さんにとっては、お客さんと楽しく遊ぶための必修科目です。扇子を上手に的に当てるのはかなりむずかしいので、新人舞妓さんは何度も練習を重ねるそうですよ。
御用達その六:「うちわ」
きつい猛暑で知られる京都の夏。祇園祭を見に集まる舞妓さんの手にはうちわが。
宮川町の舞妓さんたちが祇園祭のときに披露する「コンチキ音頭」では、踊りの小道具として扇子ではなくうちわを使います。なんとも夏らしい風情がありますよね。
花街御用達の「小丸屋」で、素敵な扇子・うちわをどうぞ
舞妓さん芸妓さんが使う扇子やうちわを買うなら「小丸屋」がオススメです。お座敷やプライベート用だけでなく、春や秋の踊りの舞台でも小丸屋の品が使われています。
御用達その七:「和傘」
京都で唯一、和傘を手づくりする「日吉屋」
京都には和傘をあつかうお店が数軒あります。でも、京都の工房で職人が和傘を手づくりしているのは「日吉屋」のみ。和傘というと京都のイメージが強いので、ちょっと意外ですよね。
御用達その八:「小物」
小物なら何でもそろう「幾岡屋」
花かごや花名刺なら、なんといっても幾岡屋がベスト。文久2年創業、150年以上の歴史をほこり、舞妓さん芸妓さんも足しげく通う名店です。ご当主は、京都の花街を見つめ続けてきた生き証人のような方。花街のことならなんでも教えてくれます。こちらには舞妓さん芸妓さんが仕事で使う小物がすべてそろっているので、京都観光のお土産を買うときにもオススメですよ。
御用達その九:「化粧道具」
舞妓さん芸妓さんが化粧に使う色は、おしろいの白、砥の粉(とのこ)の赤、まゆ墨の黒の3色。
かぎりなくシンプルな色使いで女性のかわいらしさ、美しさを表現するのが舞妓さん芸妓さんの流儀です。
かぎりなくシンプルな色使いで女性のかわいらしさ、美しさを表現するのが舞妓さん芸妓さんの流儀です。
舞妓さん芸妓さんというと、独特の真っ白なお化粧がすぐ思い浮かびますよね。水に溶いた練りおしろいで、顔と首まわりを真っ白に仕上げます。
舞妓さんの口紅は赤の一色だけ。これは江戸時代から現代まで続く伝統的な化粧の作法です。
デビューして1年目の新人舞妓さんは16歳前後の少女。「まだ大人ではない」ということ=おぼこさ(幼さ)を表現するために、紅は下唇だけにぬります。
デビューして2年目以降のお姉さん舞妓になると、大人の女性を表現するため両唇に紅をぬります。
京都の舞妓さん御用達が大阪でも手に入ります
京都祇園には舞妓さんの化粧道具をあつかう店がいくつかあり、観光客にも人気となっています(先に紹介した幾岡屋など)。しかし、今回ご紹介するのは大阪のお店です。「美寿屋」は、舞妓さん芸妓さんの化粧下地に欠かせない「びんつけ油」の製造販売元。舞妓さん芸妓さんの化粧台には、このびんつけ油が常備されています。
もちろん美寿屋では、びんつけ油だけでなく、おしろいや刷毛など舞妓さん芸妓さんが化粧に使う道具がすべてそろっています。有名な歌舞伎役者も、化粧道具を求めてこちらにひょっこり顔を出すそうですよ!
御用達その十:「かんざし」
舞妓さんの美しい髪をさらに華やかにするのが「花かんざし」。1月から12月まで異なる花かんざしをつけて季節感を表現しています。京都で舞妓さんを見かけたら、頭にどんな花かんざしをつけているか注目してみてくださいね。
1月の花かんざしは、おめでたい松竹梅。
2月の花かんざしは、梅。頭の左側に新人舞妓であることを示す長いびらびらがついています。
3月の花かんざしは、菜の花。
4月の花かんざしは、桜。
5月の花かんざしは、藤。
6月の花かんざしは、紫陽花。
8月の花かんざしは、朝顔。
9月の花かんざしは、桔梗。
10月の花かんざしは、菊。
11月の花かんざしは、もみじ。
12月の花かんざしは、ちょっと変わった「招き」のかんざしです。京都南座で12月に行われる歌舞伎公演(顔見世興行)のとき、正面玄関の上に出演する役者名が書かれた名札がずらりとならびます。これを「招き」と呼びます。
京都の五花街の芸舞妓が、芸事の勉強を兼ねて歌舞伎の吉例顔見世興行を観劇する「花街総見」が京都市東山区の南座で始まりました。この日訪れたのは祇園甲部の芸舞妓たち。3日に先斗町、4日に宮川町、5日に上七軒、9日に祇園東と続きます。 pic.twitter.com/OuQTqjj0uj
— 朝日新聞大阪本社映像報道部 (@asahi_nks20) 2013年12月2日
顔見世興行では、必ず五花街の舞妓さん芸妓さんが総出で観劇するのがならわしです。これは「顔見世総見」とか「花街総見」などと呼ばれ、冬の京都の名物となっています。
上七軒の舞妓さん・まねきのかんざし pic.twitter.com/NACPJ7E2MM
— しあんくれーる (@maru69on) 2014年12月21日
手づくりの花かんざしなら「金竹堂」へ
舞妓さん御用達のかんざしなら「金竹堂」が一番のオススメ。金竹堂は江戸時代末期に創業した髪飾りの専門店。舞妓さん専用の花かんざしを手作りしているのは、京都でもこちらだけだそうです。一般客でも買うことができるので、「特別な日に特別なかんざしで髪を飾りたい」という女性にはぴったりのお店ですよ。