おなじみの京アート"鳥獣人物戯画"と紅葉狩りが堪能できる深山の名刹「高山寺」
栂尾山(とがのをさん)高山寺の歴史
奈良時代の名刹であり、明恵(みょうえ)上人が再建した事で有名な「高山寺(こうざんじ)」。千里眼を持っていたとも伝わる高僧で、学問所を設けてたくさんの僧に仏の道を説いたそうです。
京都大原の三千院と同じように、デューク・エイセスの『女ひとり』の歌詞にも登場しています。日本を代表する作家、川端康成の『古都』の舞台にもなっているんですよ。
国宝「石水院」は学問所と明恵上人の住居だった!
後鳥羽天皇より下賜った建物で、高山寺唯一鎌倉時代の遺構です。非常に簡素な佇まいですが『阿留辺幾夜宇和(あるべきようわ)』の遺訓の通りに、人間の生き方を深く捉え厳しい精神を持って生きるべきの姿を表します。こけら葺の入母屋造で、住宅建築の傑作として国宝指定されています。
善財童子像が、石水院から庭を眺めるように佇んでいて深山の借景を常に優しく見つめています。
生き物が躍動する「鳥獣人物戯画」
日本は漫画文化国と言われていますが、実はこの「鳥獣人物戯画」は日本で最古の漫画とも言われています。墨絵で全四巻の世相を反映した内容で、鳥や獣が生き生きと描かれています。相撲や水遊びを楽しんだり、時には喧嘩をし法要をするなど人を獣としたのか、はたまた魑魅魍魎かは定かではないそうです。
高山寺に残されているのはレプリカで、甲乙巻は東京国立博物館、丙丁巻は京都の国立博物館で寄託保存されています。
仁和寺から移築?「金堂」
本尊の釈迦如来を安置している金堂は、銅板葺の入母屋造。徳川家光が覚深法王の直願で仁和寺から移築したそうです。表参道から真っ直ぐ歩くと金堂が見えてきますよ。
新緑の季節には、周囲は緑一色の染まります。早朝の散策は澄んだ空気を吸い込みながらゆっくりと楽しみましょう。
明恵上人終焉の地「開山堂」
本瓦葺の宝形造で、中には明恵上人坐像が安置されています。こちらでは、明恵上人の誕生会や命日法要が行われており、建物は重要文化財にも指定されています。
隠居してからは、こちらで余生を過ごした開山堂。森閑とした高山寺で何を考えていたのでしょうか。
日本茶はここが発祥?「茶園」
実は明恵上人は茶祖とも言われ、栂尾山は日本茶の発祥の地でもあります。栄西禅師が持ち帰った茶種を明恵上人が植えて茶園としたそうです。
京都のお茶と言えば「宇治茶」ですが、天皇への栂尾の茶を献茶としていたそうですよ。現在は石柱のみですが、当時を偲ぶ事ができます。
季節のみどころ
「高山寺」は紅葉の名所!奥深い風景を楽しもう
高山寺は参道が表と裏にあり、バス停に近い方が裏参道。こちらは白塀に、紅葉が映えて趣が非常にあります。高浜虚子の俳句にも登場する風景をゆっくりと楽しめますね。表参道は、これもまた見事な赤が目に入ります。
石水院の廂の間にある善財童子像と、その後ろに広がる美しい紅葉のコラボは目に焼き付けて帰りたいもの。静かに佇む姿は明恵上人そのままに、私達の目に焼き付きます。
石水院南縁から見る季節の移ろい
石水院の南側にある庭園は、小さいながら三尾の紅葉を楽しめる絶景のスポット。
縁側に腰掛けて向井山の景色を楽しむもよし、庭園の紅葉を楽しむもよしと、まるで絵画の如くに完成された美しさをじっくりと楽しんでください。
新緑、万緑、紅葉……そして、雪景色を楽しませてくれる石水院南縁は、忘れずに訪れてもらいたい。
「清滝川」の紅葉を楽しみに足を運ぼう
高山寺近くの清滝川は、透明感のある水流が美しく心も洗い流してくれるかのようです。川の近くには散策できる道があり、ゆったりと紅葉を楽しむことができるようになってますよ。
かわらけ投げで有名な「神護寺」にも散策しながら回れますので、京都の秋を楽しんでください。
高山寺へのアクセス方法
京都駅からJRバス周山行きに乗車し、栂ノ尾(とがのお)バス停下車、徒歩約5分。お得な高雄フリー乗車券(JRのみ利用可)を使うと、往復料金が安くなります。
京都市営地下鉄烏丸線四条駅から市バス8系に乗車し、高雄バス停下車、徒歩約15分。
京都市営地下鉄烏丸線四条駅から市バス8系に乗車し、高雄バス停下車、徒歩約15分。
高山寺周辺のグルメスポット
指月亭
川のせせらぎを聞きながら食事を楽しみたいのなら、指月亭でゆっくりとしてみましょう。奥には広い座敷もあるので、大人数でもゆっくり楽しめます。
夏には川魚料理が楽しめるなど、奥深い山里料理が楽しめます。冬には、ぼたん鍋にと清滝川と料理が一度に楽しめると素晴らしい空間です。
高雄 錦水亭
高級料理旅館で、夏は川床、秋には高級床と旬の京都懐石を堪能できます。山並みを楽しむ座敷もあり、夫婦でゆっくりと旅行を楽しむのにぴったりです。
冬には温かい湯豆腐が一番人気だそう。松花堂弁当や天ぷら御膳などメニューも豊富です。宿泊でゆっくりするもよし。京都を堪能するなら、市内の喧騒から離れたこちらで美味しい食事を楽しみましょう。
硯石亭
神護寺の参道途中にある甘味処で、もみじ餅が有名です。蕎麦もメニューにあるので、小腹を満たすにはぴったりではないでしょうか。
名物は『もみじ餅』です。サイズはひと口大、道明寺餅に自家製の餡をたっぷりと乗せたもの。餡の甘さは控えめで、もちっとした食感を引き立てます。
喧騒を離れて静かに自分を見つめる旅へ
非常に神秘的で、同じ日本にこんなところがあって良いのかと思うくらいの静けさ。時には人里離れた場所で羽を伸ばしませんか?鳥獣戯画を目当てにするよりも、自然を感じるために訪れてほしい、そんな寺院です。