京都・人気紅葉スポット!静観な美しさを洛北の隠れ家「岩倉実相院」で体験
実相院(じっそういん)はその静かな境内もさながら、春は新緑・秋は紅葉の床が息を飲むような美しさ。京都の北に位置しながら、観光客が訪れない日はないほどの人気スポットです。決して大きくはありませんが、それがまた京都らしさをかもしだしています。(2017年01月08日 最終更新)
実相院(じっそういん)は閑静な住宅地に挟まれた場所にひっそりとあり、叡山電鉄「岩倉駅」から徒歩ですぐなので観光に回るのにも利便性が非常に高いです。公家の岩倉具視(いわくら ともみ)は、倒幕派によって岩倉村の実相院の門前に幽閉されたことがあり、実相院と共に観光スポットとなっています。
公武合体(こうぶがったい)の推進で和宮降嫁を実現させ、徳川幕府の終焉『大政奉還』に関わり『王政復古』の宮中工作にも暗躍しました。 明治維新の影の立役者として、岩倉具視の名は歴史の授業で学んだはず。
京都市北区紫野に静基(じょうき)僧正が開基・創建され、その後には今出川小川付近、そして現在の岩倉の地へ移りました。門跡寺院となったのは応仁の乱以降に義周親王が門跡となられた後になるそうです。塀には、五本の白い線が入っており格式高い寺院である事が分かります。
静基僧正は、関白鷹司基通の孫である事からも、皇族が住職を務める門跡寺院になったのではないかと推測されます。京都御所から大宮御所「承秋門院(じょうしゅうもんいん)の旧宮殿」の一部が下賜されてからは、ここでは華やかな茶会などが行われていたそうです。
目を見張る「障壁画」がここにあります
江戸初期には義尊が入寺しますが、この義尊は足利義昭の孫にあたるのです。室町幕府最後の将軍である、義昭の孫義尊は古文書や古記録に興味を示し熱心に書写したため、実相院には歴史的価値のあるものが非常に多く残されています。
江戸中後期に活躍した絵師といえば狩野派でしょう。「群鶴図襖(ふすま)」は舞う鶴の躍動感が際立ったもので並べるとそれは見事なものです。力強い筆が特徴の「花鳥図襖」は牡丹や岩などのコントラストが絶妙で見ごたえが十分です。
内部は撮影禁止となっていますので、写真撮影は控えてくださいね。
夏の床みどり、秋の床もみじ
見事な庭を一周するのも良いのですが、客間の床板に反射する風景はまるで一枚の絵画のように美しく、夏と秋ではまた異なる趣があります。
夏は涼を感じる緑がまばゆく光り、命の鼓動を感じさせます。暑い京都の夏も、これを目にすれば気持も落ち着くのではないでしょうか。
床みどり、床もみじともに客殿内は現在、撮影禁止です。
紅葉が一面に広がる窓は、押し寄せるような大迫力で海外からもこれだけを見にやってくる人がいるくらいなんですよ。紅葉シーズンは一番人が多くなるそうですが、冴え冴えとした新緑はまさに仏教を教えを表すかのように素晴らしいです。
おすすめのランチスポット
松乃鰻寮
京都・祇園のうなぎ屋『松乃』運営の隠れ家レストランです。社員寮を改装した建物は、京都ならではの雰囲気で趣があるのもまた楽しみ。ウナギのアラを出汁に使った鍋「うなべ」は、人気料理です。
京都らしい優しい味のウナギは、泡雪のようにふんわりと口の中で溶けていきます。味だけでなく、店内の雰囲気も落ち着いているのでゆっくり料理を味わってください。
まだ見知らぬ京都を訪ねて
旅行会社のコースにもあまり組み込まれることがないので『知らない』人も以外に多いのが実相院です。二つの庭は、それぞれ趣が異なり、素晴しい景観を楽しむ事ができます。門跡と聞くと格式高く近寄りがたい雰囲気がありますが、紅葉以外は比較的静かでゆっくりできるスポットとなっています。観光ガイドでは、メインとして紹介される事のない寺院ですが、癒しの旅にはじっくりと訪れたい……そんな気持にさせてくれるのです。京都に訪れた際には、ぜひ足を延ばして訪れてみてください。