京都の世界遺産に心の平安と癒しを求めて『仁和寺』へ訪れてみませんか?
巨大な二王門が先ずは目に入る仁和寺。その左右には大きな金剛力士が訪れる人を見下ろします。真言宗御室派の総本山であり、皇族が歴代の門跡(住職)としてここに住まわれた場所。徒然草にも登場する、この仁和寺は京都の寺院の中でも遥かにスケールの大きさを感じさせてくれます。(2016年08月29日 最終更新)
仁和寺の歴史
光孝天皇の勅願で建築を始め、宇多天皇の代に完成したとされた歴史ある寺院です。宇多天皇は、平安時代の唐風文化から現在の日本文化へ移り変わる時代を築き上げた天皇でもあります。この宇太天皇は菅原道真を非常に信頼し、右大臣にまで上り詰めさせたのは「その能力の高さ」だけでなく「先見の明」であったとも。
神国日本を象徴とした宇太天皇は、後醍醐天皇に譲位した後には仁和寺で隠居し「御室御所」とまで呼ばせたのです。仁和寺で30年修行をしたと言うのですから、信仰も深く優れた天皇であったことが分かります。
美しい和洋建築の「二王門」
皇族縁の寺院としての風格だけでなく、穏やかな雰囲気も感じる素晴らしいこの門は、徳川家光の寄進により建てられました。阿吽の仁王像は、悪しき者は一歩たりとも踏み入れさせない気迫に満ちたもの。格の違いを見せつけるような神々しさがあります。京都三大門の1つでもあり、その作りの素晴らしさもじっくりと楽しんでください。
一番好きな門。仁和寺 二王門 pic.twitter.com/pPYWN8IP7l
— ダンホリのたけお (@dance11holic) 2016年2月28日
阿弥陀三尊が拝観できる「金堂」
国宝に指定されている金堂には、須弥壇だけでなく、美しい極彩色の浄土図に観音図を見ることができます。仁和寺は御殿エリアもありますが、先ずは本尊にお参りしてからゆっくりと拝観したいもの。阿弥陀三尊だけでなく、四天王像や梵天像も安置されています。
金堂は徳川家光が仁和寺を再興した時に、京都御所より「紫宸殿」を移築させました。もともとは檜皮葺だったものを寺院の本堂にするために瓦に変えましたが、寝殿造りは平安様式と日本の伝統建築をそのままに残します。
春と冬の特別拝観時には内部も見る事ができるので、観光に訪れるならこの時期がおすすめですよ。
「御影堂」で空海に出会う
京都御所の「清涼殿」を移築したのが御影堂です。檜皮葺のままの宝形造りで、蔀戸の金具まですべて清涼殿のものを使っているので細かな部分も見逃せません。弘法大師は真言宗の開祖でもあり、宇多天皇像と共に安置されています。
仁和寺境内にある御影堂(みえどう)の造りをみてきました。江戸初期に建造され弘法大師が本尊です。金具も美しいものが使われておりますが、個人的には建物の下にこんもりと盛られた白い土が美しく感じて、これはどうしてこうなのか気になります。 pic.twitter.com/iYVtq7DZ3i
— tozaikokonsya2014 (@tozaikokonsya) 2016年8月3日
仁和寺の「五重塔」
仁和寺と東寺の五重塔の造りは非常に類似しており、層の幅がなくスッキリした印象を受けます。江戸期の様式が色濃く、細身な事や回りに木立が多いので高さも然程ないように感じますが33mの高さは、訪れる人を優しく包み込んでくれます。
時代劇でもお馴染みの寛永期を代表する塔で、「御室桜(おおむろざくら)」と共に仁和寺のシンボルになっています。初層の西側には、大日如来を示す梵字の額が掛けられており、内部には大日如来、無量寿如来が安置されています。
勅使門から御殿へ「南庭」
白い砂が眼下に広がり、奥には白書院、黒書院、宸殿が見える南庭。平安時代がそのままに感じられるだけでなく、皇室の風格を感じさせてくれます。真っ白な砂に、凛とした松や杉が力強く枝を伸ばす姿は威厳があり、心が引き締まる思いにもなるでしょう。
ここで仁和寺の御殿の庭園を。白川砂を敷き詰めたシンプルな南庭は格調の高さを感じます。右近の橘、左近の桜。 pic.twitter.com/ex3pciR08U
— hiro (@hiroasagent) 2016年4月13日
簡素こそが究極の美である「北庭」
京都の寺院の楽しみかたの1つに「日本庭園」があります。桜や苔、竹林などさまざまな見ごたえはありますが、仁和寺はそのシンプルさを楽しんでみましょう。
美しい白砂に常緑樹がさえざえとし、茶室と池だけのなんとも簡素ではありますが、これぞ御室御所の真髄でもあります。仁和寺と御殿の調和した景観に、非日常を感じ心を穏やかにそして平安へと偲ばせます。
美しき桜は「御室桜」だけにあらず
仁和寺と聞けば「桜の名所」と答えが返るほどに御室桜が有名です。寺紋も桜に二引両なので、欄間から襖絵、お守りも桜で埋め尽くされています。春以外も、桜で埋め尽くされた仁和寺を楽しんでみませんか。
四季で楽しみたい
京都の春夏秋冬は緑と美しい花で彩られます。仁和寺も四季でさまざまな表情を見せてくれますよ。
京都で最後に咲く「御室桜」を楽しもう
仁和寺の桜見頃
京都の桜を楽しみに毎年訪れる人も少なくありません。桜は4月上旬がピークでこの時期は、どこに行っても人だらけ。桜をより人の方が目に留まるもの。仁和寺の桜は、このピークが過ぎた頃から咲き始め、4月下旬まで楽しめます。
中門から西側には「御室桜」の林があり、通常の桜のように背が高くないので人の目線で楽しめるんです。遠目に五重塔も見えますので、シャッターチャンスは見逃せません。
御室桜の開花は、4月中旬から5月のゴールデンウィーク前まで楽しめます。背丈が低いので、小さなお子さんも間近でお花見ができるのも嬉しいですね。
五重塔近くの「ミツツツジ」も見逃せない
御室桜は優しい桃色ですが、ミツツツジは濃いピンク色。参道に桜に負けじと咲くツツジと春の若葉のコラボは、春から夏へと移り変わる京都を映し出してくれます。
紅白のツツジ 仁和寺 pic.twitter.com/77kL1sKUwe
— kogureski (@kogureski1040) 2016年4月22日
隠れ紅葉スポット
例年11月中旬~12月上旬が見頃
金堂や五重塔周辺には、真っ赤に色づいた紅葉が美しく、御殿内の宸殿からは五重塔と紅葉がマッチングした景観が楽しめ、なんともロマンチック。人も少なく落ち着いてみる事ができるので、一人でのんびり訪ねるのにもおすすめです。
仁和寺へのアクセス
京都市バス 10・26・59系統乗車「御室仁和寺」で下車 徒歩1分。京都駅からは26系に乗車できるので、駅からのアクセスが便利です。
嵐電北野線では「御室仁和寺」で徒歩3分。
嵐電北野線では「御室仁和寺」で徒歩3分。
仁和寺を訪れたら立ち寄りたいグルメスポット
「御室さのわ」でほっと一息
仁和寺の目の前にある、デザイナーズカフェ。店内はお洒落な空間が広がります。外観だけでなく、お茶のこだわりも半端ありません。宇治だけでなく、鹿児島や熊本、岐阜、そして台湾から選び抜いた茶葉を、京都名山水「京見峠の山水」で丁寧に一煎ずつ入れてくれます。
こだわったお茶にあわせるのは和菓子や洋菓子など多彩。堅苦しい雰囲気ではなく、気軽に立ち寄れる一軒です。
『御室 さのわ』にて「おぜんざい と くめさんの京番茶」を頂く。 pic.twitter.com/a4KU0Pi8Mb
— 河津 サクラ @ 超いきものまつり初日 (@sakura_kawazu) 2016年6月3日
御室仁和寺を後にして
国宝や重要文化財が豊富な事だけでなく、樹高が低い「御室桜」が有名な仁和寺。どこを見ても「雅」であることが最大の魅力ではないでしょうか。ため息がでるような美しい平安建築が、現在も私たちの目に触れられる奇跡をどうか穏やかに楽しんでくださいね。そして、金堂の屋根瓦に佇む、「永遠の象徴」の仙人にも出会ってください。