京都・紅葉の名所『興聖寺』は宇治十二景のひとつ、静かなる古寺の魅力を!
鎌倉初期に道元禅師が深草に創建した道場がこの『興聖寺(こうしょうじ)』です。京都府宇治の紅葉の名所でもあり、「琴坂」と呼ばれる参道にはカエデが両脇に赤々と広がり紅葉のトンネルが参拝者の心をとらえて離しません。風情のある興聖寺で、古寺の魅力を再発見してみましょう。(2017年03月01日 最終更新)
曹洞宗(そうとうしゅう)の寺院で、山号が仏徳山(ぶっとくさん)。開祖を道元禅師(どうげんぜんじ)とし、お釈迦様と道元禅師(どうげんぜんじ)の一仏両祖を仰いでいます。最初からここにあったのではなく、伏見の『安養院』の曹洞宗の道場として開かれたそう。
道元禅師が宋から帰朝した後禅道場として「七堂伽藍」を建立し、「観音導利院興聖宝林禅寺(かんのんどうりいん こうしょうほうりんぜんじ)」を開創したのが『興聖寺』の始まりとされています。道元禅師は坐禅の要点と所作を説いた「普勧坐禅儀(ふかんざぜんぎ)」「学道用心集(がくどうようじんしゅう)」「典座教訓(てんぞきょうくん)」等を執筆し、曹洞禅の教理・思想の基礎を創られました。このことからも道元禅師初開の道場として多くの禅僧がここに集結し修行を行うのです。
威風堂々とした境内に足を踏み入れましょう
比叡山延暦寺が、織田信長によって弾圧を受けたことから、道元禅師は現在に福井県(越後)に避難することになります。その後は、開祖がいないままにお寺は寂れてしまい廃絶してしまいます。境内に入ると静観ですっきりした境内に圧倒される人も多いはず。淀藩主であった永井尚政公(ながい なおまさ)は、自分の父の菩提を弔う為に万安英種(ばんなんえいじゅ)を五大住持として迎え、現在の場所に復興したそうです。尚政公は閑寂で清潔な雰囲気を好んだ為、華やかさはありませんがそれが興聖寺の魅力となっています。
竜宮城を彷彿させる大きな「山門」
白の漆喰が眩い楼台にアーチ形の門は、中国建築らしい竜宮門。楼上には釈迦三尊と十六羅漢が安置されています。「曹洞宗興聖寺専門僧堂」の木札が古色蒼然とした山門をさらに引き立てます。足を踏み入れると薬医門と本堂が目の前に見え、本堂、書院、方丈等の堂宇が一巡できるように回廊で繋がれているのが分かります。
江戸時代の儒学者である林羅山(はやしらざん)の銘が打たれている鐘楼は、今も時を刻む音色を奏で「興聖の晩鐘(こうしょうのばんしょう)」と呼ばれます。鐘楼の左には薬医門があり、受付がこちらになりますので目にも止まりやすいですね。
伏見挑山城の遺構が見られる「本堂」
関ケ原の戦いの前哨戦でもあった伏見城の戦いで東軍の居城でありましたが、西軍に迫られ落城。多くの武者の血の手形や足跡が残る縁板は天井に配されています。廊下は鶯張り(うぐいすばり)、ここでも戦乱で命を落とした人達の生きた証を偲ぶことができます。
開山堂は「老梅庵」とも呼ばれ、道元禅師が竹椅子の座った等身大の木像が安置されています。体内には御霊骨が納められているそうですから、しっかり手を合わせましょう。
本堂奥の知祠堂には、平安時代の歌人『小野篁(おののたかむら)』作の木造の聖観音菩薩立像が奉安されています。源氏物語宇治十帖にも登場する『手習の杜』に安置されていた『手習観音』で、金箔張りの見事なものです。通常は非公開となっているので、特別公開で当たるとみる事ができます。
宇治橋からゆったり散策したい「琴坂」
宇治橋の右岸をゆっくり歩いていくと対岸には平等院を眺めながら興聖寺の門前にたどり着きます。宇治絶好の散策ルートでもあり、興聖寺の入り口から続く「琴坂」は、春夏は緑力や緑陰が素晴らしく、秋は紅葉が見事なスポット。谷水の響きが、琴の音色に似ていることから名づけられたと伝わっています。
『平等院』も近くアクセスも便利なお寺なので、宇治散策でぜひとも訪れたい場所のひとつ。古刹の景観に清閑な空気をはらむ庭園を楽しむのなら、四季を問わず足を踏み入れるべきでしょう。
興聖寺を実際に訪れた旅行者が徹底評価!日本最大級の旅行クチコミサイト フォートラベルで興聖寺や他の観光施設のクチコミをチェック! 興聖寺は宇治で6位の寺・神社です。
JR奈良線宇治駅から徒歩で20分
京阪宇治線宇治駅から徒歩で15分
宇治でおいしいグルメを探そう
京料理 辰巳屋
天保11年、茶問屋として創業された老舗で、大正に入り料理店として新たなスタートを切りました。料理とお茶の相性を生かし、抹茶点心をはじめとしたオリジナルな京料理を楽しむことができます。
コース料理だけでなく、お弁当など気軽にランチで食べられるメニューも満載。ミニ懐石は、予約なしでも注文可能なので気軽に京料理を楽しみたい人にもおすすめですよ。
鮎宗(あいそ あゆそう)
宇治川の流れを見ながら食事ができる鮎宗は、焼きウナギをのせたおこわ「飯蒸し(いいむし)」が名物料理。もち米を蒸した食感を楽しむ料理で、割烹料理でもお馴染みです。竹の皮で包まれており、山椒の香りがきいているので薄味でも味わい深いです。
かご盛りセットは、季節のかご盛りに茶そば・鰻いい蒸しが食べられる人気のメニュー。天ざる茶そば点心には、揚げたての天ぷらが付いてボリューム満点です。ランチタイムは、宇治の景観と一緒においしい料理に舌鼓♪
琴坂から興聖寺までじっくり楽しめます
曹洞宗の名刹でもあり、非常に美しい景観があちらこちらで楽しめる興聖寺。宇治散策コースとして、時間をかけてゆっくり散策してみましょう。11月下旬~12月上旬には宇治は一面が紅葉に彩られ、寒さを忘れ見惚れてしまう美しい自然に心が癒されます。春は新緑と宇治川のせせらぎを感じたりと、宇治ならではの穏やかな時間を堪能できますよ。